微妙な動きを検出、増幅、測定する画期的なビデオ処理システム

微妙な動きを検出、増幅、測定する革命的なビデオ処理システム

RDI Technologies(米国テネシー州ノックスビル)のエンジニアは、Iris Mという画期的な非接触ビデオ処理システムを開発しました。このシステムは、FLIR(旧Point Grey)のカメラを使用して、機械から生じた微妙な振動を検出、増幅、測定し、これまでの技術の問題点を解決することができます。 

すべての機械は振動を発生します。正常動作で発生する振動もあれば、機械の初期故障の徴候を示す振動もあります。 予測メンテナンスの分野において、振動サインの検出は、より深刻な事象が発生する前に問題を特定、解決する診断プロセスの重要な要素です。 

 

RDI TechnologiesのIris Mシステムでは、Point Gray/FLIR 2.3Mpixel Grasshoppper3カメラをVanguardの三脚に設置し、モノクロ画像データを1920 x 1050のデフォルト解像度と120フレーム/秒の速度で取得します。

カメラからのデータはUSB 3.0インターフェースを介してタブレットPCに転送され、特許を持つ同社のソフトウェアで解析され、機械などの工場資産の振動サインを視覚化します。

これまで振動サインは、機械に接触加速度計などの有線センサーを設置して、発生した振動を監視して検出されてきました。 センサーからデータを取得すると、データに対して実稼働解析が行われ、機械の動きのアニメーションモデルをレンダリングして、振動パターンが視覚化されます。 

しかし、RDI Technologiesの創業者兼CEOであるJeff Hay博士は、この手法には欠点があると言います。 地点が増えると測定に時間がかかるだけでなく、機械や構造物にもアクセスする必要があります。 これでは、機械へのアクセスに制限がある場所や、障害やガラスの後ろにある場所では使用できません。 さらに、このような接触測定を行うには、加速度計の取付作業中は機械を停止させなければならず、ダウンタイムが発生して、損失が生じます。

撮像アセット 

Iris Mシステムのカメラはデータ取得デバイスとして機能し、動きを抽出して分析できるビデオ画像を収集します。 FLIR(旧Point Grey)2.3Mpixel Grasshoppper3 GS3-U3-23S6M-CカメラはVanguardの三脚に設置され、1920 x 1050のデフォルト解像度と120フレーム/秒の速度でモノクロ画像データを取得します。 画像データを取得すると、そのデータはUSB 3.0インターフェースからネジ留め式ケーブルを介してGetac F110またはMicrosoft Surface BookのいずれかのタブレットPCに転送されます。 

Iris Mシステムには、直接画像から工場資産の絶対変位の点測定を行う機能があります。この機能を使えば、点の測定値を解釈する代わりに、その動きを定量化して、現在の動作および障害のタイプを判別できます。

「特許を持つビデオ処理アルゴリズムであるMotion AmplificationがPCのハードウェア上で実行され、マシンの振動を視覚化します。 これを行うため、このアルゴリズムではフレームごとに各画像のピクセルを解析して、シーンのどの部分が動いているかを判断します。 次に、シーンの動きの振幅の定期的な変化を肉眼で見えるレベルまで増幅します。 こうすると、目には見えないほど微妙な動きが鮮明になり、その内容や振動を引き起こす相互関係が分かります」とHay博士は語ります。 

PC上で動作するグラフィカルユーザーインターフェースを使用して、画像の多くの部分を選択してさらに分析を実行できます。 そうすると、このシステムソフトウェアは、それらの領域に関連する時間依存強度データを表示します。 また、高速フーリエ変換(FFT)などのさまざまな数学的関数を使用して、時間依存強度のデータセットを周波数依存強度データに変換できます。 こうすると、あるシーンで選択したセクションの異なる周波数における増幅されていない絶対振幅および振動の位相が提示されます。

感度とスケーラビリティ 

Iris Mシステム自体は2016年第3四半期に発売され、機械状態監視業界における動きの観察方法に革命をもたらしました。 Iris Mシステムは使い方がシンプルであるばかりでなく、機器の動作状況がよく分かるビデオ画像が簡単に理解できます。 

Hay博士によると、FLIR Grasshopperカメラを選択したことは、システムが成功した主な理由の1つでした。 このカメラの12ビットダイナミックレンジにより、画像内の明るく照らされた領域と暗い領域との間のピクセル強度の小さな差を捕捉することが可能になり、このシステムを使わなければ抽出できない詳細な変化をソフトウェアで抽出できます。 

見逃せないのは、Motion Amplificationアルゴリズム自体です。 「Iris Mはこの独自のアルゴリズムにより、従来の画像ベースの測定ツールに比べ、約100倍の変位測定感度を実現しました。 さらに、点測定を解釈して現在の動きや欠陥の種類を判定する代わりに、直接画像から絶対変位の点測定を行うIris Mの機能で、必要なときにその動きを定量化できます」とHay博士は述べます。 

Iris Mとは置き換えの測定にあたって従来の画像ベースの測定ツールの100倍の感度を誇ります

この技術のもう1つの大きな利点は、データが変換される速度とデータの細部のレベルです。 従来の接触測定システムとは異なり、カメラの視野内にある全資産の動きが同時に測定されるため、簡単に拡張できます。 さらに、資産の問題の根本原因をビデオで直接見ることができるため、技術者とそうでない人のコミュニケーションツールとしても役立ちます。 

この新しいシステムは、さまざまな実務用途に導入されています。 Iris Mシステムは、機械などの産業資産の状態を監視する以外にも、橋梁、建物などの構造健全性を解析するためにも使用できます。 さらに、人の呼吸を測定する生体モニタリングアプリケーションにも使用できます。

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