鉱業界におけるサーモグラフィの汎用性

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赤外線は、プロセスの各ステップにおいて重要なモニタリングツールとなり得ます

悪天候や環境条件が数十万人の労働者にとって職場の基準になっている業界では、サーモグラフィは予定外のダウンタイムを減らし、職場の安全を改善し、その過程で数百万ドルを節約できる信頼性の高いツールであることが立証されています。このアプリケーションノートでは、赤外線カメラを「プロセス」状態監視(鉱石から鉱物を抽出する「プロセス」)および採掘作業における電気と機械のシステムの予知保全プログラムに統合する価値について説明します。鉱業界で普及している新しいアプリケーションについても説明します。

課題

あらゆる意味で、採掘現場はミニチュアの街のようなものです。独自の公益事業、道路、特殊なプロセス装置、安全基準と規制、専門の熟練した労働力を抱えています。鉱山は24時間365日稼働しています。大規模なインフラは、施設内の変電所から電力を供給し、深層地下の深冷空気を移動させ、洪水を避けるために水を汲みだします。最大400トンの運搬用ダンプトラック、強力なショベル(ガス動力および電動)、粉砕機、ミル、そして処理施設を駆使し、地下何マイルにもわたるトンネルや数百エーカーにわたる露天採掘現場から、貴金属などの重要な資源を採取します。

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鉱山には、敷地内の変電所からの広範な電源が必要です。

ダウンタイムのコスト

鉱山の収益可能性は、生産量に直接比例します。また、生産量は、すべてのシステムが予期せぬ中断なく、どれだけ効率的に機能するかによって決定されます。例えば、Gold Barプロジェクトや将来の鉱山では、年間62,800オンスの金の生産が見込まれています。鉱山は年間365日稼働するため、これは1日あたり約172オンス、1時間あたり7.17オンスに相当します。金の価格が1オンス1,200ドルの場合、ダウンタイムによる1時間あたりの損失は8,628ドルに達します。このペースでは、わずか1週間で100万ドルの損失につながる可能性があります。鉱山によって生産量は異なり、中にはこれより少ない場合もあれば、はるかに多い場合もあります。さらに、この例では、設備の故障による増大する運用コストは考慮されていません。

設備の耐久性とメンテナンスは、鉱山の運用コストに大きな影響を与えます。多くの設備はカスタム仕様であり、非常に特殊なため、交換には莫大なコストがかかります。そして、車両1台あたり数百万ドルに及ぶこともあるため、鉱山会社はトラック、ショベル、浸出設備を最大限に活用する必要があります。

鉱業界における予知保全の課題

壊滅的なダウンタイムや設備の損失を防ぎ、保険料を削減し、作業員の安全を向上させるために、鉱山会社は包括的な予知保全プログラムを実施しています。これにより、安定した電力供給と継続的な稼働が確保されます。このプログラムを管理するチームの規模は、鉱山の操業規模によって決まります。しかし、鉱山操業の複雑さ、ならびに電気・機械システムの特性を考慮すると、これらのチームには、鉱山設備、輸送、電気応用に関する専門知識とトレーニングが求められます。鉱山会社が一部の業務を外部委託することは珍しくありませんが、可能な限りモニタリングや修理作業を自社で行う方がコスト効率が高くなります。誰がPMの職務を遂行しているかにかかわらず、鉱業界は成功にいくつかのユニークな課題を提示します。

  • 環境条件:夜間、地下、極端な暑さや寒さ、または湿潤な環境など、ほとんどの鉱山では24時間体制の設備のモニタリングやメンテナンスにおいて、多くの独自の課題が発生します。
  • 粉塵:鉱業は本質的に汚れる作業ですが、鉱山によって粉塵の影響は異なります。例えば、地下にある炭鉱は、露天掘りの銅鉱山や金鉱山よりも粉塵の問題が深刻です。
  • デジタル化:鉱業界では、操業のデジタル化によるメリットが認識され始めています。他の業界と同様に、データへの高速アクセスは、コスト効率と生産性を向上させます。鉱業界では、リアルタイムの意思決定を支援し、より迅速な投資回収(ROI)を実現するために、デジタル監視ソリューションが必要とされています。
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ソリューション

20年以上前、ユタ州オグデンにあるInfrared Systemsの創設者であるPer Fostvedt氏は、鉱山操業の処理能力向上や予知保全プログラムの改善手段として、サーマルイメージングの導入を推進し始めました。「20年以上前に鉱山にサーマルイメージングを紹介し始めた頃は、ほとんど否定的な反応ばかりでした。当時、鉱山の基本的な考え方は、設備を使い倒して故障したら修理・交換するというものでした。」とFostvedt氏は語ります。

しかし、長年の間にその考え方は大きく変わりました。定期的に実施される予知保全プログラムは、作業員の安全を向上させるだけでなく、時間とコストの節約にもつながります。サーモグラフィカメラは、現在では予知保全に不可欠なツールとなっており、主に電気・機械システムの監視に活用されていますが、多くの処理工程や鉱石浸出作業のモニタリングにも役立てられています。鉱業界において、作業員の安全は最優先事項です。通常、安全性を向上させるソリューションが利用可能であれば、鉱山会社は積極的に投資を行います。

多くの鉱山では、サーモグラフィカメラや専用ソフトウェアを導入しており、従業員を対象とした赤外線のトレーニングコースを受講させることで、各種アプリケーションの理解を深め、IRカメラの活用方法を習得させています。実際、鉱業界がサーマルイメージングの重要性をどのように認識しているかを示す例として、Fostvedt氏がInfrared Systemsを設立して以来、2018年にはネバダ州エルコで鉱山会社向けに3つのサーモグラフィ認定コースが開講され、すべて満席となりました。その成功を受け、米国南西部の鉱山会社は、2019年にはこのペースを維持するだけでなく、さらなる加速も検討しています。

さらに、鉱山会社は専門的な外部の専門家を採用し、質の高いサーマルイメージングデータの収集、正確な温度測定、定量・定性のサーモグラフィ技術を活用した迅速な設備状態について報告を行っています。これには、熱伝達の概念を活用した的確な分析が求められます。請負業者には、鉱山安全衛生局(MSHA)の認定取得、現場での危険・安全トレーニングの受講、そして身元調査の実施が義務付けられています。また、外部のサーモグラフィ専門家は、適切な点検手順に基づく専門的な知見を提供し、識別可能な熱パターンの分析を行います。こうした熱パターンの中には、現れるまでに時間がかかるものもあります。

電力の投資収益率

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図1. 鉱山ステーションで故障寸前の電圧レギュレーター

鉱山操業は、鉱石の採掘、輸送、処理において電力に大きく依存しています。電力は、ディーゼル動力と比較して、最も効率的かつ経済的であり、環境にも優しい選択肢です。鉱山現場では、他の多くの産業と比べて、設備の規模が大きく、電圧レベルも高くなっています。実際、米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration)の調査によると、2017年のエネルギー消費量において、鉱業はバルク化学産業、製油産業に次ぐ第3位にランクされました。

電力は、鉱山の敷地全体に配電されており、変電所を起点に、高圧送電線を通じて移動式変電所や変圧器へと供給されます。図1のサーマルイメージは、変電所の電圧レギュレーター端子が故障寸前の状態であることを示しています。この変電所は重要な操業設備に電力を供給しています。故障して予期せぬ操業停止が発生すれば、数百万ドル規模の損失につながる可能性がありました。

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図2. VFD処理モーターに電力を供給する故障寸前の接触器端子

図2のサーマルイメージでは、別の鉱山現場での請負点検中に、Fostvedt氏がモーター制御センター(MCC)のバケット内にある480 Vの接触器端子が故障寸前であることを発見しました。このMCCバケットは可変周波数駆動(VFD)モーターに電力を供給しており、予期せぬ故障が発生すれば、最大10万ドルの処理収益損失につながる恐れがありました。

機械設備の投資収益率

Gates Corporationによると、鉱山現場での予期せぬダウンタイムは、1回の自己で最大18万ドルの生産損失をもたらす可能性があります。このような損失コストを引き起こす可能性がある最も高価な設備の一つがロープショベルです。ロープショベルは採掘作業の命綱です。ロープショベルが予期せず故障すると、その影響は鉱山の全工程に波及します。ほとんどの鉱山現場では、ショベルの交換部品をすぐに調達できる状況にはなく、ショベルの問題の種類や製造年によっては、部品自体がすでに生産されていない可能性もあります。

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図3. このロープショベルの左ブームシリンダーがグリース不足で加熱し始めている様子

ダウンタイムが数日間続く可能性もあるため、IR(赤外線)検査を含む定期的なメンテナンスが極めて重要になります。通常、月に1回、12時間のシフトが予知保全アプリケーションに割り当てられます。図 3に示されているようなブームシリンダーの過熱といった問題は、定期的なメンテナンスを実施すれば故障する前に発見できるため、迅速な対処が可能です。これにより、12時間のシフト中の修理で済むか、あるいは1時間あたり18万ドルの生産損失だけでなく、数百万ドルの費用がかかる新しい7200 Vの電動ロープショベルの購入を余儀なくされるかの分かれ道となります。

その他の鉱業界でのアプリケーション

鉱業界におけるサーモグラフィのアプリケーションは、電気・機械の予知保全にとどまりません。鉱山のアプリケーションに応じて、以下のような用途でも活用されています。

  • 状況監視 固定設置型および車両搭載型のサーモグラフィカメラは、温度勾配の変化から電気キャビネットやスイッチギアまで、リアルタイムの映像とデータを中央監視ステーションに送信します。デジタル化が進む鉱山では、これらの画像からのデータを長期間にわたって分析することで、故障の発生をより正確に予測し、メンテナンスの時間枠を短縮し、生産のダウンタイムを最小限に抑えることが可能になります。
  • セキュリティ 鉱山の広大な敷地、アクセスの難しさ、安全性の確保といった要因により、手動による巡回警備は大きな課題となります。最新のクラウドベースのネットワーキング、ソフトウェア、分析と組み合わせた高解像度サーマルカメラとカラーカメラのパン/チルト/ズーム機能により、鉱山の指令センターは単一の拠点から敷地全体を監視することができます。
  • 安全性 鉱山の壁面の健全性をサーモグラフィで監視することで、鉱山に労働者を派遣することが安全かどうかを判断する際に、鉱山会社はより多くの安定性データを参照できます。
  • 赤外線ウィンドウ:多くの鉱山では、特に電気機器の赤外線検査をより安全で簡単に実施するため、新しい設備に赤外線ウィンドウを搭載するよう要求しています。また、多くの鉱山では、既存の古い設備に対しても赤外線ウィンドウの後付けを進めています。
  • ドローン:無人航空監視システム(ドローン)は、電力送電システムの目に見えない温度差を空中から包括的に把握できるほか、鉱山敷地内における空隙の調査にも活用されています。

鉱山の生産性と安全性の維持を支援

採掘現場には頑丈な設備が必要です。サーモグラフィカメラは粉塵を透過して検知できますが、レンズに粉塵が蓄積するとカメラが正常に機能しなくなる可能性があります。FLIR Systemsの実装スペシャリストであるInfrared Systemsは、固定設置型IRカメラのレンズに付着する粉塵を吹き飛ばすための恒久的なエアパージシステムを活用しています。一方、携帯型IRカメラの場合、サーモグラファーは密閉された透明なプラスチックバッグにカメラを入れて検査を行うことがよくあります。

どのような手段を講じるにせよ、鉱業界はサーマルイメージングを信頼できる予知保全ツールとして積極的に導入し、活用しています。Fostvedt氏は次のように述べています。「IRは、散水システム、冷却システム、処理設備、モーター制御センター、変電所など、地表や地下に設置された機器の監視に欠かせないツールです。」

サーモグラフィは、鉱山会社が成功するために必要な作業を支援する差別化技術です。鉱山会社は、鉱脈がどこに続いていようとも追跡しなければなりません。コアサンプルがもたらす結果を常に予測できないため、柔軟な対応が求められます。

鉱業アプリケーションにおけるフリアーシステムズの詳細、または製品デモの日程については、www flir.com/applications/industrial をご覧ください。

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